PoCまで進めても、予算化には届かなかった
異業種メーカーでは、新設DX組織のチームリーダーを担当しました。ミッションも具体的な仕事も定まっておらず、テーマ探索から始める状況でした。
外部のスタートアップへ何度かヒアリングし、社内の有識者につなぎ、効果を見積もってPoCまで進めました。上位者にも提案しましたが、明確な利益を示し切れず、予算は付きませんでした。
そのときに言われたのが「グループのミッションに合っていない」ということです。ただ、そもそもミッション自体が明確ではありませんでした。私は理不尽だと感じました。メンバーとはミッション案を何度も話しましたが、意思決定にはつながらず、取り組みは止まりました。
同時に、異業種で働き続けるほど、電子部品で積んだ経験が薄れていくことにも危機感を持ちました。職場環境への懸念も重なり、長く働き続けることは難しいと判断しました。
次は、4つの条件を先に決めた
短期離職になるからこそ、同じミスマッチを繰り返さないための条件を、求人検索より先に書き出しました。
条件は、これまでの経験を使えること、専門性を深められること、家族が引っ越さずに済むこと、外資系も含めて報酬の上がり幅を見られることの四つです。前の転職では仕事内容とのミスマッチがあったので、今回は会社名よりも実際の仕事を優先しました。
転職エージェントだけに任せず、dodaなどの求人サイトとLinkedInでも検索しました。電子部品・半導体業界のプロセスエンジニアを中心に、仕事内容との一致と年収の上がり幅を確認しました。
求人票を見て「自分のことでは」と思った
工程改善、不良解析、品質、データ分析、海外工場、英語、電子部品。別々に積んだ経験が、一つの求人で重なりました。
「これ、自分のことを言っているのでは?」
求人票を初めて読んだときの率直な感想
| 求人で求められたこと | 私の経験との接点 |
|---|---|
| 工程改善 | 量産工程の課題を整理し、改善を進めた |
| 不良解析 | データと現象から原因候補を絞った |
| 品質 | 品質問題への対応と再発防止に関わった |
| データ分析 | 製造データを整理し、判断材料を作った |
| 海外工場 | 海外の関係者と業務を進めた |
| 英語 | 業務で英語を使った |
| 電子部品 | 電子部品の量産・工程に関わった |
厚生労働省のjob tagでも、半導体プロセスエンジニアの仕事に、工程の設計・構築、品質向上、歩留まり改善、量産効率化などが挙げられています。
転職先は、会社で見れば半導体企業です。ただ、応募したのはRFフィルタ事業のプロセス職でした。私自身は、半導体というより電子部品に近い仕事だと考えています。そのため、今回の転職を、まったくの未経験領域への挑戦とは考えていません。もちろん、経験していない製品や技術まで、できるとは説明しませんでした。
面接では、2つの懸念に答えた
短期離職と、経験していない技術。どちらも隠さず、今回の求人との接点まで説明しました。
短期離職については、前の会社への不満だけで終わらせず、電子部品、工程改善、品質の経験をもっと使い、専門性を深めたいと説明しました。前回なぜミスマッチが起きたのか、今回は何を条件として見直したのかも話しました。
RFフィルタは電子部品として近い一方、経験していない製品や技術もあります。そこまで経験済みのようには話さず、近い経験と、入社後に覚えることを分けました。
オファーは、3つの条件で判断した
採用側からは、経験と求める人材のマッチ度が高いというフィードバックを受けました。
決め手は、プロセスエンジニアとして過去の経験を使えること、家族の引っ越しが不要なこと、希望を上回る条件だったことです。報酬だけではなく、もう一度技術を軸に専門性を深められるかも含めて決めました。
まだ、転職の成否は分からない
オファーを得たことと、転職先で活躍できることは別です。
電子部品経験があれば半導体企業のどの仕事にも転職できる、外資系へ行けば年収が上がる、とは結論づけません。今回分かったのは、会社の分類だけでは遠く見える求人でも、担当製品と仕事内容まで見れば、自分の経験の延長にある場合がある、ということです。