会社選びの基準は、3回とも違った
私はこれまでに3回転職しました。会社を選ぶ基準は、3回とも同じではありません。
1回目は、家族で海外へ移住し、海外で働く経験を積めることを重視しました。2回目は、会社の業績と将来性を詳しく見るようになりました。3回目は、入社後の仕事内容と、何を達成すれば評価されるのかを具体的に想像できることを重視しました。
転職先を比較するとき、給与、勤務地、福利厚生、知名度など、確認できる項目はたくさんあります。私も毎回すべてを同じ重さで比べたわけではありません。
今もっとも見るのは、会社名よりも、そこで自分が活躍する姿を具体的にイメージできるかです。
1回目は、家族で海外へ行けることを優先した
1回目の転職で重視したのは、海外駐在につながる案件であることでした。海外で子育てを経験してみたい。英語を使って働きたい。海外で実際に働いた経験は、その後のキャリアでも差別化になると考えていました。
単身赴任ではなく、家族で移住できることも条件でした。海外駐在の時期、赴任先、現地での役割は求人票で確認し、家族帯同が可能かは転職エージェントを通じて会社へ確認しました。
会社だけでなく、現地での生活も調べました。現地の日本人社員が子どもをどのような学校へ通わせているかを、エージェント経由で会社へ聞きました。Webでも、学校、教育環境、家族の日常生活について調べました。
この転職では、会社の知名度や長期的な昇給の優先度を下げました。額面年収だけを見るのではなく、駐在時の待遇や住居費まで含めて生活への影響を判断しました。それ以上に、海外で働いた経験を得ることが今後のキャリアにプラスになると考えました。
最重要条件を具体的に確認できていたため、入社後に『ここも確認すべきだった』と強く感じた点はあまりありません。
2回目は、会社の業績を詳しく調べた
海外駐在は実現しました。一方、その後、会社の業績が悪くなり、先行きが不透明になったと感じました。そこで2回目の転職では、会社の業績が伸びているかを意識しました。
有価証券報告書や決算説明資料などのIR情報を詳しく読みました。転職エージェントからも、会社の業績や事業について説明してもらいました。
有価証券報告書などは、金融庁のEDINETでも閲覧できます。会社のイメージだけでなく、売上、利益、事業の変化を自分で確認したことは、今でも会社選びに役立つと思っています。
ただ、会社全体を詳しく調べた一方で、自分の仕事には見落としがありました。
会社が成長していても、自分の仕事が明確とは限らなかった
2回目の転職では、自分が入社後に何をするのかを十分に確認できていませんでした。実際に入社すると、明確な目標やKPIがなく、その目標に対する自分の担当業務や役割も定まっていないと感じました。
面接で仕事内容や役割について似た質問をした記憶はあります。しかし、回答は曖昧で、深掘りしきれませんでした。
当時は、納得できる回答が得られないことを、自分の理解力不足だと考えました。自分が知らない高度な仕事なのだろう。入社すれば、いろいろなことを学べそうだ。そう前向きに解釈しました。
今振り返ると、回答が曖昧であること自体から、仕事や役割がまだ具体化されていない可能性を考えられたかもしれません。実際に面接官がどこまで役割を把握していたかは分かりません。ただ、分からないことをすべて自分の理解力不足にしなくてもよかったと思います。
『仕事内容は何ですか』から、成果物と評価指標まで聞く
仕事内容の説明が抽象的なら、期待される成果まで深掘りします。
入社後に担当する業務と、自分が担う範囲を確認する
最初の半年や1年で、何を形にするのか確認する
何を達成すると評価され、誰が確認するのか聞く
今なら、まず『具体的な想定業務と役割は何ですか』と聞きます。回答が抽象的なら、入社後に求められる成果物、何を達成すると評価されるのか、その評価指標を誰が確認するのかまで深掘りします。
仕事内容の説明が難しいことと、仕事内容が高度であることは同じではありません。新しいポジションで役割を一緒に作る仕事でも、会社が解決したい課題や、最初に期待する成果物は確認できます。
厚生労働省は、募集時に業務内容、就業場所、労働時間、賃金などの労働条件を明示し、採用時には一定の労働条件を示す必要があると案内しています。
一方、具体的な成果物や評価指標まで求人票や労働条件通知書に書かれているとは限りません。そこは面接で確認する必要があると、私は感じました。
3回目は、面接官の質問から実際の仕事を想像できた
3回目の転職では、仕事内容と評価される条件を具体的にイメージできるかを重視しました。ただ、選考で『評価指標は何ですか』と詳しく質問したわけではありません。代わりに、面接官の質問が具体的でした。
工程ごとに設備データや測定データはあるが、それぞれが分散し、統合されていない。それらを統合した経験はあるか。多くの要因から歩留まりへの寄与を見つけたことはあるか。分析の途中で、想定していなかった要因が見つかった経験はあるか。
質問を聞くだけで、入社後に扱う課題をかなり具体的に想像できました。
私は過去の歩留まり改善で、ほとんど同じことを経験していました。データを統合するプログラムとシステムを作り、現場と必要なデータを選び、IT部門とインフラを整え、上位者と目標をすり合わせました。
この経験なら、入社後の課題にも使える。自分が活躍する姿を想像できました。
会社から明確なKPIの説明があったわけではありません。それでも、提示された課題を解決し、歩留まりやコストへの効果を数字で説明できれば評価につながるだろうと考えました。これは会社から確認した事実ではなく、面接内容と過去の経験から私が判断したことです。
仕事内容以外は、報酬の伸びしろと家族の負担で絞った
3回目は、外資系企業へ対象を絞りました。外資系企業なら必ず報酬が高いとは言えません。ただ、当時見ていた求人では給与レンジの上限が高く、転職エージェントからも同じ説明を受けていました。
海外経験や英語を使った仕事との相性もよいと考え、今後の報酬の伸びしろを求めました。これは外資系企業全般に当てはまる事実ではなく、当時見た求人と説明から行った判断です。
一方、前回から比較的短い期間での転職だったため、家族の負担を考え、引っ越しが不要な勤務地に絞りました。会社の知名度は、あまり重視しませんでした。
仕事内容、活躍できる可能性、報酬の将来性、家族への負担。自分にとって重要な条件が満たされていれば、誰もが知る会社かどうかは優先しませんでした。
企業文化は、確認しても判断しきれない
会社選びでは、上司、チーム体制、企業文化、働き方も確認します。ただ、企業文化は入社前に判断することが難しいと感じています。
過去の会社選びでは、企業サイトに書かれていた文化を読み、自分に合いそうだと思いました。しかし、実際に配属先で働くと、あまり合わないと感じました。
企業サイトの内容が間違っているという意味ではありません。会社全体が掲げる文化と、特定の部署で実際に経験する文化は違うことがあります。部署、上司、時期によっても変わると思います。
面接や社員との会話から確認できることはあります。それでも、入社前にすべて見抜くことはできません。確認できることを増やす一方で、分からない部分が残ることも受け入れる必要があると思います。
今は、活躍する姿を具体的に想像できるかを見る
会社名より、仕事、成果、次のキャリアまで説明できるかを見ます。
仕事内容と評価される成果を具体的に想像できるか
自分の経験を使って、課題の解決に貢献できるか
今は難しくても、乗り越えることで得たい経験があるか
すでにできる仕事だけを選ぶという意味ではありません。活躍できない可能性があるなら、なぜ難しいのかを考えます。足りないのが技術、業界知識、英語、マネジメント経験なら、その壁を越えることに自分が求める成長があるかを見ます。
1回目は、海外で働くという新しい経験を得るために、会社の知名度や長期的な昇給の優先度を下げました。2回目は、会社の成長性を詳しく調べました。3回目は、会社全体だけでなく、自分の仕事と成果まで想像できるかを重視しました。
会社選びの条件は、すべてを満たすためのチェックリストではありません。私は今、会社名から選ぶより、『この会社で何をし、どんな成果を出し、その経験が次のキャリアへどう残るか』を説明できる会社を選びたいと思っています。
転職時の会社選びでよくある質問
- 転職先の会社選びでは、何を最優先にすべきですか?
- 全員に共通する一つの条件はありません。私は、入社後の仕事内容、評価される成果、自分が活躍する姿を具体的に想像できるかを最も重視するようになりました。
- 会社の将来性は、どこで確認できますか?
- 上場企業であれば、有価証券報告書、決算説明資料などのIR情報を確認できます。売上や利益だけでなく、事業別の変化や会社が説明するリスクも読みます。
- 面接で仕事内容が曖昧だったら、何を聞けばよいですか?
- 具体的な想定業務と自分の役割から始め、最初に求められる成果物、評価指標、その成果を誰が確認するのかまで深掘りします。
- 企業文化は入社前に判断できますか?
- 企業サイトや面接、社員との会話から確認できることはあります。ただし、部署や上司による違いもあり、入社前にすべて判断することは難しいと考えています。