求人票の年収レンジは、かなり参考になった

私が転職活動で見た求人では、想定年収はレンジで書かれていました。ただ、何を含めた年収なのか、レンジの幅をどう決めているのかは会社によってまちまちでした。

実際のオファーはどうだったかというと、私の場合、2社から求人レンジの上限に近い金額を提示されました。上限まで出ることは十分にあると思います。

一方で、求人レンジの上限を超えるオファーは、あまり期待しない方がよいと考えています。少なくとも私が見た求人と受けたオファーでは、レンジはかなり参考になりました。

求人を探す段階では、レンジの上限が自分の希望水準に届いているかを見ます。上限そのものが希望より低い求人は、選考後の交渉で逆転することを期待せず、候補から外してよいと思います。

上限に近いオファーは、面接後の評価と一緒に出た

2社の選考後、面接の評価が大変良かった、かなり評価が高かったという趣旨のフィードバックを受けました。

オファー額の詳しい算定理由は聞いていません。私自身は、実務でのDX経験が評価されたのだと思っています。

私が担当したのは、DX施策の構想と発案、現場での実行、実際に使われるまでの定着です。海外工場でそれを進めた経験もありました。この一連の経験が評価につながったのではないかと考えています。

『DX経験あり』と書くだけでは、この違いは伝わりにくいです。私は面接で、何を考え、誰と調整し、どこまで実行したかを話しました。

これは、面接後のフィードバックと、自分が聞かれた内容からの判断です。

希望年収は、応募時に「現職と同等以上」と伝えた

希望年収は、応募時に転職エージェントから聞かれました。私は『現職と同等以上』と伝えました。

現職の待遇は、二つの数字に分けて考えました。源泉徴収票で確認できる年収と、変動収入や福利厚生を含む実質的な比較額です。

賞与や残業代は年によって変わります。借り上げ社宅があれば、同じ生活を給与だけで維持する場合より自己負担が変わります。そこで私は、書類で確認できる年収と、待遇を同じ条件へ置き直した比較額を分けました。

転職エージェントには、源泉徴収票や給与明細を提出しています。そのうえで、賞与、残業代、借り上げ社宅をどの前提で計算したかも詳しく説明しました。

証明書類上の数字と、自分で計算した実質的な数字を、ロジックとともに両方出しました。この二つを分けたことで、書類との整合性を保ちながら、転職で失う待遇も伝えられました。

額面をそろえるだけでは、実質待遇を比較できなかった

比較項目実際に置いた条件
書類上の年収現職は源泉徴収票・給与明細、転職先はオファーレター記載額
賞与現職は直近の支給実績、転職先はオファー記載の想定額
残業代各社とも月20時間で計算
借り上げ社宅同じ手取り効果を得るために必要な税引前給与へ換算
株式報酬別枠で提示された場合だけ、権利確定期間で年額換算

賞与は、現職側に直近の支給実績、転職先側にオファー記載の想定額を置きました。実績と想定なので、確度の違いも見ながら比較しました。

残業代は、各社とも月20時間にそろえました。年ごとの残業時間に引っ張られず、同じ条件で比較するために置いた数字です。

借り上げ社宅は、同じ手取りを給与で得る場合へ換算した

現職には借り上げ社宅の制度がありました。

私はその価値を、同じ手取り効果を給与で得るには税引前の年収がどれだけ必要か、という形へ換算しました。会社負担相当額と税金面の差を含めて見るためです。

国税庁の案内でも、現金で支給される住宅手当と、会社が社宅を貸与する場合では扱いが異なります。社宅は、従業員が負担する家賃と国税庁が示す賃貸料相当額との関係によって、給与として課税される範囲が変わります。

制度名が『住宅補助』でも、現金の手当なのか、会社契約の借り上げ社宅なのかで計算は変わります。求人票だけで判断せず、人事やエージェントへ制度の形と自己負担を確認した方がよいと思います。

実際の税額は所得や制度条件で変わります。比較するときは、自分の給与と会社の制度を確認して計算する必要があります。

株式報酬は、外資のオファーで別枠になっていた

外資系企業のオファーでは、オファーレターに想定年収が書かれ、株式報酬はそれとは別に記載されていました。日系企業のオファーにはなかったため、額面年収だけでは単純比較できませんでした。

私は、付与される株式の総額を権利確定までの年数で割り、1年あたりの価値へ換算しました。将来の株価や為替は読めないため、比較時点の株価と為替を使いました。権利確定のスケジュールなどは、オファーレターで確認できました。

株式報酬は、今回比較した外資系企業で出てきた条件です。将来の株価や為替で価値が変わり、未確定分の扱いも付与条件によって異なります。私は固定給と分け、変動する別枠の報酬として比較しました。

オファー後の再交渉はしなかった

最初のオファーを受けた後、私は追加の金額交渉をしていません。

賞与、残業代、借り上げ社宅、株式報酬を同じ条件へ置き直すと、実質的な報酬は現職を大きく上回っていました。企業側もかなり頑張ってくれたと感じました。

それ以上を求めようとしても、私には説明できる根拠がありませんでした。オファー後は必ず交渉すべきだとは思いません。

同じ条件で計算した実質的な報酬が現職と同等以下なら、交渉の余地はあったと思います。そのときは、現職の書類上の年収、失う借り上げ社宅、変動報酬の前提を分けて説明します。

求人票のレンジと、最終条件の書面を分けて確認する

厚生労働省は、求人票や募集要項で賃金などの労働条件を確認し、労働契約を結ぶときには労働条件通知書等で条件を確認するよう案内しています。契約時の明示事項には、賃金の決定・計算・支払方法や、会社に定めがある場合の賞与等も含まれます。

求人票の年収レンジは、応募先を選ぶ段階で使う数字です。最終的に受ける条件は、オファーレターや労働条件通知書などの書面で内訳まで確認します。

私の場合、求人レンジの上限近くまで出ることはありました。求人を選ぶときは、その上限を自分が得られる最大水準として見ていました。

まず、レンジ上限が希望水準へ届く求人を選ぶ。オファーが出たら、額面年収だけでなく、賞与、残業代、借り上げ社宅、別枠の報酬を同じ条件へ置き直す。書類上の数字と自分の試算は分け、計算根拠をエージェントへ説明する。

私はこの順番で比較したことで、求人票の数字に振り回されず、転職するメリットがあるかを判断できました。